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□「真夏日」
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「ふぃー、あっちーな」
中尉とフュリーの居なくなった部屋に聞こえたのは、ここ、東方司令部ではもう馴染みになった軍法会議所勤務のマース・ヒューズ中佐で、毎度、嵐のように訪れては去って行く。
「ヒューズ、何しに来た」
つっけんどんに言う大佐が、親友の来訪を実は楽しみにしている事なんて、全部バレバレだ。
中佐は一応、客で、上官だ。
この暑さの中、放置する訳にもいかない俺としては冷たいコーヒーでも淹れてくるか、と席を立つが中佐に話しかけられ、足を止める。
「ブレダ少尉、わんこは?」
わんこってのは、同僚で親友のハボックの事だ。
大佐の目の前に座ってて、なんでわざわざ俺に聞くかな。とは思っても、この人に妙な突っ込みはしちゃいけない、逆にこっちが危機に陥る羽目になる。絶対だ。
「小隊の訓練で演習場です」
順番に回ってくる小隊の訓練だが、ハボック隊は体力勝負な隊だから、必然的に訓練も厳しい。
午前から昼過ぎまでって言ってたから、今頃シャワーじゃないですかね、そう伝えて、給湯室に向かった。