『魂の呼吸』

□いいえ、暇潰しです
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「元親、暇だから、しりとりでもしねぇか?」
ついに頭にウジでも湧いてきちまったのか。小十郎は訳の分からねぇことを言い出した。
「はぁ?」
さすがに、返す言葉がなかった。なにをどうやったら、こんな流れになっちまうんだ?いや、強引。
まったくこの男は計り知れない男である。それともただアホなだけなんだろうか。俺は少々悩んだ。だが、そんなこちらの苦悩など、かまうことなく勝手にことを始める小十郎。
「しりとり、はじめは`め´だぜ、元親」
「……」
なんで男二人、個室にすし詰めで、しりとりなんだよっ。理解に苦しみながら、小十郎を見た。だが`め´だぞ、と強要してくる始末だ。
「……わかったよ」
暇なことには、確かに変わりねぇ。しぶしぶと俺は、しりとりに参加(と言っても二人っきりだ)する。

「メス」
「西瓜」

それにしても、小十郎としりとり。
どう考えても変な恋人である。

「リス」
「スリ」
「リンク」

だが、しょせん、しりとり。飽きてくるのも早い。けど、小十郎は意外とやる気のようだ。これは困った。

「栗」
「理科室」
「釣り」

ちょっと、いじめてみたくなった。

「りんどう」
「瓜」
「律儀」
「霧」
「陸地」
「利子」

意外とやるじゃねぇか。感心した。けれど、小十郎の眉間にシワがよってきてやがる。だが、まだまだだ。これくらいじゃあ、つまらねぇ。
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