『魂の呼吸』

□るり色の星から愛をこめて
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※注意。ガソダムネタです。

現ネオジオン総帥片倉小十郎は悩んでいた。
どうやったらメカ好きな元親をネオジオンに勧誘するか。
それだけを考え抜いていたのだった。
考え込み過ぎて、元々ネジの飛んでいた頭から更に2、3本抜けてしまったらしい。彼の素晴らしい能力は間違った方向に、進んでいた。
その勢いたるや凄まじい。ロンデニオンで、でくわした元親を通常の3倍のスピードと強引さで拉致したのだった。もちろん元親を慕う野郎どもなどスルー。
しかもそのまま馬にまたがって颯爽と去って行ったので、野郎どもの出番すらなかった。
合掌。

「で、なんだよ、こりゃ?」

元親の声はいつもよりも低く、ドスが効いていた。旗艦レウルーアのデッキに運び込まれ、堂々と鎮座しているのはネオジオンには不釣り合いな、けれど間違いなくガソダムだった。その隣にはサザビーが並んでいる。
ロンデニオンで出会った元親を、これはチャンスとばかりに拐って来たのはかれこれ10時間ほど前。そのままシャトルに乗り込み、あっという間にロンデニオンとはおさらばした。
そこからの事務処理が大変だったが、念願の元親を手に入れられたのでよしとする。レウルーアに着く前に、とびっきりのプレゼントも用意できたことだしな。

元親がもっとも喜ぶだろうプレゼント。

もうこれしかないではないか!
ガソダム!
当然フル装備。完ぺきな調整を行ったものだ。スーツからいつもの制服に着替え、スキップしたいのを堪え、ついでに部下の嫌みにも耐えて自室を出た。
護衛とナナイのブロックをかわすのには、慣れた。

拐って来てから個室に閉じ込めっぱなしで、ご機嫌斜めの元親をなんとかデッキへ連れ出す。メカニックのジャンパーを羽織った、始終むっつりとした元親を連れデッキへ流れる。本当はデッキにいる人間すべてを追い出したいところだったが、それは無理なので泣く泣く妥協する。
それでもデッキには作業をする最低限の人間しか入れなかった。水入らずとはいかないが、それはそれで満足であった。

しかし、どうもガソダムを目の前にしても元親のテンションは一向に上がる気配はない。俺のリサーチは完ぺきだ。昔からメカフェチだし、パイロットというよりも技術屋だからな、こいつは。
予想では俺はこの上なく元親に感謝させるはずだったのだが……
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