Special
□「夕涼み」
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ソファに座ってのんびり雑誌を読んでいた俺の頭に、薄い水色の布が被せられた。
「ハボック、それを着ろ」
自分の手にも紺色の同じような布を持ち、横柄に言い放つのは、俺の上司で恋人である大佐だ。
ピラピラした布きれを摘んで大佐を見れば、いやにご機嫌な様子でこちらをじっと見ている。
今更、裸を見られるのが嫌だとか、そんな事は言わない。
でも大佐があんな笑い方をする時は、俺にとってはよくない事が起きる前兆みたいなもんだ。
ここで拒否ったら余計怖い目にあいそうだ。自分の身の安全を考えて、おとなしく言う通りにしとこ。
摘んでいた布きれを広げてみる。
羽織るものだとは理解したが、足を通すところがない。
「大佐、これどうやって着るんスか?」
スカートでもなさそうなソレの着方を持ってきた張本人に尋ねると、ああそうだった、とか言いながら、細長い紐(?)を渡された。
いや、だから着方が解んねぇんだって。
二つを手にどうにも出来ず、立ったままの俺に、さっきの笑みを浮かべた大佐が近寄ってきた。
「私が着せてやるから、脱げ」
実に嬉しそうな大佐と、身の危険を感じて固まる俺。
このまま為し崩しってのだけは嫌だなぁ。