Special

□「wish」
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イーストシティの中でもあまり治安のよろしくない地区にあるハボックのアパート―どうやら家賃で決めたらしい―の前に立つ。

明日の朝に到着する予定だったが、泊まりの許可がどうしても下りなかった。

もう丸一月触れ合えていない恋人との数少ない逢瀬のチャンスを逃したくない俺は、イーストシティへ向かう本日最終の列車に飛び乗った。

目が回る位に忙しい軍法会議所……いや軍にいりゃどこでも同じか、やっと逢える、と合鍵でそっと鍵を開け、もう眠っているだろうハボックのベッドを覗く。

………居ねえ……

おいおい、まさかまだ司令部か?ハボックの上司で俺の親友のサボり癖で居残り、もしくは緊急の呼び出し?後は、飲みに出掛けてんのか。

連絡もせずに来た俺が悪いんだろうが、何とも虚しい、な。

ここで待っててもいいんだが、ハボックの香りで満ちているこの部屋で、独りで居ちゃ余計に虚しさが増す。

司令部まで迎えに行って、ハボックの馴染みの店を覗きに行こ。
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