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□「真夏日」
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夏真っ盛りの昼時、この時間の有り得ない程の気温の上昇に、司令部では全館クーラーの効いた部屋で分厚い軍服を着込んだ職員が、職務に励んでいた。

「なあ、中尉。なんだか暑過ぎないか?」

司令部内、ロイ・マスタング大佐以下若干名の控える大部屋のみ有り得ない程の温度を孕み、室内湿度は膨らみ続けていた。

「確かに、これでは倒れてしまいます」

何時でもきっちりと着込まれた軍服の襟を寛げ、手持ちのファイルでパタパタと自分を扇いで口を挟むのはファルマン准尉。
ちなみにフュリーに至っては、汗が滴り落ちる頭を机に突っ伏して、何もする事が出来ずにいた。

大佐の声に顔を上げた中尉の額にも薄っすらとだが汗が浮かんでおり、何かを考えた後「調べて来ます」と立ち上がり、機械弄りに長けたフュリーを連れ、部屋を出て行った。おそらく空調管理室に行き、担当者に確認を取り、フュリーの手に負えるものなら修理させるつもりなのだろう。

この暑い中、唯でさえ体力を削がれているフュリーに、機械熱の篭る空調室での作業はかなりキツイものがあるようだが、我が身可愛さに誰も止めようとはしなかった。
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