Special

□「長い夜」
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「建物ごと燃やせば良いだろう」

フュリーの寄越した無線機から聞こえる雑音混じりの無情な声。

目の前の廃墟には人質―女性とその子供だ―をとった犯人グループが立て篭っている。

再三の人質解放や軍人との交換の呼び掛けも無視し続け、つい先程、ハボックの率いる小隊が突入したばかりだ。

ハボック隊なら、そう時間も掛らず、人質を建物から速やかに脱出させるだろう。

このまま外を包囲して、あとはあの精鋭部隊に犯人検挙を委ねればいい、そう思った矢先の将軍からの命令。

昨日から東方に滞在中の中央のお偉方は、司令部に残り、逐一状況説明を求めていて、その対応に判断が遅れた事にも気付いていないのだろうか。

大佐の速い出世を疎ましく思っていたのは知っていたが、どこまで理不尽に振る舞うのだろう。

大佐が部下の命を軽く扱う筈がない。
それを承知で言っているんだ。
そんな命令は聞けない、と大佐が抗がうのを待っている。

こんな小さい人間に大佐がこれまで積み上げてきた物を崩されるなんて、許される事じゃない。

ハボック隊からの連絡で一味の保有する銃火器はかなりの量だと判っている。
特に火薬の量が半端じゃない。
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