短き幻夢
□キラー編
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「あー、もー、ほんと意味わかんない、夏目漱石!」
「どうした?急に…」
私が本から顔をあげて声を発すると、隣にいたキラーがこちらを見た。
「だってさー、I love you を月が綺麗ですねって訳しなさいって言うんだよ?
どうなのよ、この口説き文句!私言われても絶対気付けない!」
むくれた顔で文句をいえば、困ったようにキラーは笑った。
「じゃあ、試してみるか?」
穏やかな微笑みを向けたまま、キラーがじっと私を見る。
「え...、」
何言ってるのって言おうとしたけど、それはできなかった。
「...月が綺麗だな。」
顔を少し離して、いつもの低い声で囁かれた。
愉しそうに口元に弧を描いたキラーが、私を抱き寄せる。
「どうだ?」
恥ずかしさで俯く私に、キラーはククッと横で笑った。
「その様子だと、分かったみたいだな。」
ポンポンと彼の大きな手が私の頭を撫でた。
唇に言葉を添えて
(不意打ちのキスとか、反則っ//)