比嘉

□夏の終わり
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夏の終わり








タイミングが悪かった。


課題を机の中に忘れたことに気づいたのは部室に行く途中のことで、いつもなら部活の後に取りに戻るのに、今日に限って気づいた直後に教室に引き返してしまった。


そして俺は今、教室の扉に隠れる姿勢で立っている。
入りたくても入れない。

と言うのも、凛が告白されて、フラれた女子が逆ギレして凛にめいいっぱいビンタする瞬間を見てしまったから。


(ぅぅっわー…最悪ぅ…どーしよ…)

「裕次郎、そこに居るんだろ。いいから入って来いよ」


不意に声を掛けられてびっくりした。
あー、やっぱビンタされる前目が合ったのは気のせいじゃなかったか…

「…ぉぅ」

できるだけ目を合わさないようにしようと思って、俺はまっすぐ自分の席に向かう。

課題のテキストに手を伸ばした、その時だった。




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