比嘉
□只今、絶賛後悔中。
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「あい?…今、何て…?」
比嘉中に入学して2ヵ月。
同じ小学校出身のやつが少くて、最初は寂しいなーとか思ってたけど、だいぶクラスの連中と打ち解けて学校が楽しくなってきた頃だ。
さぁ、始まれ中学生ライフ!!…って時に、こいつはやって来た。
「我々とテニスをしないか、と誘ったんです」
「唐突やさ。第一、部活なんかに入ったら寄り道できんくなるあんに!?わん、放課後にフラッと出掛けんのを楽しみに学校来てるんだけど」
「勉学はついでですか。キミらしいですね」
(キミらしいって、何でわんの事知ってるさぁ!?)
冗――談じゃない。
わんの青春は、彼女作って放課後デートして、たまに習ってる琉球武道を披露して…。
なんつーか、そんな感じの輝いた感じをイメージしてる。
部活?しかもテニス部??
運動系の部活って、朝練あるやっし。
早起き?
無理!
ありえん!
断固拒否!!
「えー、木手とか言ったか?悪いけど、わんはテニスに興味な…」
「あぁ、そうそう。我々が練習に出掛ける近くにある、パイナップル農家の方と、仲が良くてね。我々テニス部を、贔屓にしてくださっ…「よし、入部したっ!!」
木手の手から入部届をひったくって、クラスと名前をガリガリと描きなぐる。
「ほれっ!これでいいだろ?」
「えぇ、結構ですよ」
「で?そのパイナップル農家の人から、パイナップルってどのくらい貰うばぁ?」
「何言ってるんです。そんな事、言っていませんよ。」
「…………は、」
「俺は農家の方と『仲が良い』と言っただけですよ。勝手に話を推測して行動してしまう性格は、考えものですね。」
「だっ…騙したな!!」
「人聞きの悪い事言わないでください。
仮に騙したとしても、入部届はキミの意志で書いたわけですからね。
これから、頼みますよ。甲斐クン」
「………やられた……」
只今、絶賛後悔中。
(え―、…やっぱ止めても…)
(却下)
(ですよねー。)
END
⇒あとがき