Short novel

□小話&日記掲載作品
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『風邪』








「「ハックシュン…」」


 静かなこの部屋にやけにくしゃみが響く。それも息が合った様に重なったくしゃみが二人分。

 くしゃみをした当人達は揃いも揃って鼻をかみ、再び仕事を再開させる。その一連の動作はくしゃみのタイミングから仕事再開までの行動まで綺麗にシンクロしていた。


「誰かうわさでもしているのでしょうか?ほら、よく言いますでしょ?1誉め2くさし3なすび…」


 書類整理をしているくしゃみをした一人であるピンクの髪の彼女がそう言う。その言葉は聞いた事があるが一部違う。すると同じ様にくしゃみをしたもう一人の当人である茶髪の彼が書類整理をしながら彼女の言葉を訂正する。


「違うよラクス。1誉め2鷹3なすびだって」


 それはそれで微妙に合っているがそれはくしゃみじゃないだろう。内心で突っ込むのも疲れてきたイザークは揃いも揃ってボケた寝言を言っている二人に訂正を入れる。


「キラ、それは初夢だろ?微妙に間違ってるがな。くしゃみじゃないではない。くしゃみは1誉め2くさし3そしりだ。ちなみに初夢は1富士2鷹3なすびだ。さっさと仕事しろッ」


「「流石イザーク。良く知ってるね(ますわね)」」


 息の合ったコンビネーションでそう言われ、イザークは脱力する。

 そんな脱力するイザークの後ろからディアッカがなにやら気がついたのか何かを取り出し、2人の元にやってくる。そして棒の様な物から赤い光を出し、その光をキラとラクスに当てる。そしてその後その棒を眺めた思ったら2人から書類を奪い取った。


「2人共今日はもう帰れ、これは俺達で処理できる物だから帰って寝ろ」


 いきなりの暴挙に出たディアッカが信じられずイザークはディアッカに詰め寄る。するとディアッカは先程の棒をイザークに見せる。それは赤外線体温計だった。


「38.3℃と39℃。こんな熱出して仕事されるよりさっさと帰って治して貰った方が得策だろ?」


 そんな2人の様子を、発熱している2人はのほほんと眺めこうのたまった。


「「仲が良いね(ですわね)2人とも」」


 状況を分かっていないのか、熱でボケているのか分からないが、妙な突込みをするキラとラクス。


「「お前等はさっさと帰って寝てろッッ」」


 その日、キラとラクスを送る車の中でそう2人に怒鳴る、イザークとディアッカの姿が見られたとか…。


 これはキラとラクスに振り回される、いつもの日常のちょっと変わったお話…。














END
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