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□T×Sの方程式
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「ホント嫌いなんだね、数学。数学は実質的には足して引いて掛けて割るだけなのに。皆難しく考えすぎなんだよ」
それを聞いたラクスはムッとする。バカにされたと思った。
「まぁ、失礼ですわね、どうせ分かりませんわ。数学が出来ずともわたくしの将来にはなんら問題はありませんわ」
すねてそっぽを向くラクスに笑いを含めた声で、キラは言う。
「実際に問題があるでしょ?大学受験の科目に数学はあるんだから。せめて、数Tと数Aぐらいは受験範囲なんだからやっとかないと」
彼女の言い分は間違ってはいない。だが今、自分がここに来て彼女に教えているのには理由がある。
そのことを指摘すると潤んだ眼で見つめられ戸惑う。
何も泣くような事を言ってしまったとは思わなかった。
「キラには分かりませんわ。キラは理数系なんですもの。文系のわたくしには数学は呪文にしか見えませんの。化学の化学式も同じですッ」