Request novel
□雑草の心と温室の花
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「だったらリンも学校に行けばその気持ちが分かるよ。一緒に行こ?」
テンは軽い気持ちで、彼女と共に行ければ楽しいだろう。それに自分が付いていれば少女も大丈夫だろうと思っていった言葉だった。
テンはそう思っていたが、彼女の心の傷は思ったより深かった。リンの両親は片方がナチュラル、片方がコーディネーターの特殊な生れであり、その両親は大西洋連邦に虐殺された。
大人、特に意味も無くコーディネーターを嫌う人間の多い場所には未だに踏み出せない。それは彼女の両親の死が大きく関わってのことだと分かるが、それがトラウマとなり、怖いのだ。人間が。
「行ってみたいけど…。やっぱり怖い。行けないよ…」
じれったさにイラつき、彼女の背負った傷のことを忘れ、テンは叫ぶ。
テンも両親をオーブ侵攻の際、亡くしている。両親が殺された痛みは分かっていた。
「リン、自分から踏み出さないといつまでたっても外には出れないんだぞ」
その後も彼女に対してきついことを言った。テンは彼女の為を思っていっていたのだが、リンにしてみたら古傷をえぐられる様な気持ちだった。
「分かってるわよそんなこと…。テンのバカッ」
泣きながら部屋を出て行ったリンの事を気にしながらテンは言い過ぎたと反省する。
しかし自分は悪い事は言ってない。こうなったらリンが一番頼りにしているキラかラクスに相談するしかないだろう。
そう思ったテンはキラの部屋へと向かっていった。
キラの部屋に付くとテンはノックをしようか迷う。
以前夏祭りの前だったがキラはこちらが何を言っても反応が無く、1日中部屋に篭り、挙句の果てに倒れたことがある。そんなキラがまた自分が持ち込んだことで一生懸命になり、倒れることになったらと思うと、気が重い。
やめようかどうしようか迷っていると、後ろからキラに呼び止められた。
「あれ?テンどうしたの?僕に何か用事?」
キラに見つかってしまい、結局総てを放すことにしたッテンはキラに先ほどのことを言った。