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□King Four Devas
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「いったい何日お風呂に入っていないのです?汚らしい。そんな不衛生な格好で社内をうろつかないで下さいな。当代四天王の一つ、風の四天王の名を拝命なさってらっしゃるのならばそれなりの身なりぐらい整えて下さい。無頓着にもほどがありますわ」


 目の前にいるその人物はいったい何日ここに籠っていたのかわからないほどに髪はぼさぼさ、髭はいったいいつから剃っていないのかというぐらいに伸び放題に伸び、グデっと情けなく机の上にのびていた。多少自分は潔癖な部類に入ると自覚しているが彼のこの姿は見過ごせないほどに酷かった。


「煩いな………5日間完徹の篭りっきりだったんだ………寝るのはもちろん……のこと………食事やトイレに行く時間も惜しんでいたのに……身だしなみなんか………ふぁ〜……気にしている………余裕……なんて……」


「寝るなら自宅に帰って寝て下さい。自由気ままにもほどがありますわ。起きて下さい。こっちも余計な仕事はしたくありませんの」


 夢の世界に片足をつっこんでいる風の四天王に常々持ち歩いている殺菌スプレーをかけたハンカチを置き、そこを掴んでその人物を揺り動かす。まるで汚いものでも触るかの様にしているこの行動だが、されている当の本人はまるで気付かない。綺麗にしていればそれなりに見られる姿をしているだろうと思われるというのに当の本人はこうだから始末におえない。必死で揺り動かせばうっすらと目が開く。開いたその場所からは眠そうな紫の瞳が覗いていた。


「くわ〜………っ………潔癖症だね、水の四天王さんは。で?僕に何か用事?」


 不機嫌そうな顔をしてこちらを見る彼はまだ眠そうでとてもではないが仕事ができるとは思えない。なんでこんな自由気ままな人が自分と同じ四天王なのだろうと首を傾げる。自分は今までただの一度も彼が仕事をしている姿を見た事がない。


「先に顔を洗ってきて目を覚ましてからにし「要件ってこれ?これならすぐできるからちょっと待ってて。ついでに休暇願受理してくれると嬉しいんだけど?」ってちょっと。わたくしは暇ではありませんの。そんなすぐできるわけありませんわ」


 さっさとその書類を片してもらいたいが仕事ができるような人物には見えないこの男にすぐさま片せるとは思わない。それでなくともいつまでもこんな汚い部署に縛られるのは御免だ。聞かなかった事にしてソ〜っと帰ってやろうとした時だった。終わったという声がその場で響く。












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