Short novel
□隣人
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夜の帳にまぎれ、夜闇の中を行く一人の男がいた。
彼は周囲を確認するように見回すと男の目の前の屋敷に忍び込む。
その屋敷は豪華な屋敷であり、そのセキュリティーの強度はまさに蟻一匹入れないと云う程に施されており、誰もこのセキュリティーを掻い潜る事のできる者などいるはずはないと思われていた。
だが、男はいとも簡単にそのセキュリティーを掻い潜り、その屋敷に忍び込む。そして、目当ての物があると思われる金庫のある書斎を物色し始めた。
そう、彼はこの屋敷に忍び込んだ泥棒だった。
男はターゲットであるこの屋敷を徹底的に調査した結果、今日はこの屋敷に誰もいない事を突き止めていた。
男が物色した結果目当てのものは見つからなかった。男はその場を綺麗に片付け、次に可能性のあるこの屋敷の主人の寝室に入り込んだ。そこの書棚や机、クローゼットなどを引っ掻き回しては目当ての物のみを探す。
男は金や宝石が目的でこの屋敷に忍び込んだのではない。
この男はここの主人が誰の目にも触れさせたくはないといっているその主人のお宝が目当てで忍び込んだのである。男は目当ての物を探すため屋敷中を物色する。今日は誰も要らず、帰ってくることもないと知っていての行動のためか、大胆に行動をしていた。
だが予定は未定。
今日はこの屋敷は本日誰もいないはず。なのに、物色している最中から徐々に感じ始めた自分以外の気配。男以外にも人の気配がする。ここの主人は用心深く、自分や妻がいない時は誰も使用人などは屋敷に入れないという徹底振りを誇っていた。その主人が、自分や妻のいない今日、屋敷に人を残しているとは考えにくい。だが実際に自分以外の人の気配がするのは確かである。
男は恐る恐るその気配の元をたどっていく。
今見つかるのは厄介だ。
このまま警察になど連れて行かれるのは真っ平ごめんだ。
そう思う男はその気配がうごめく方に偲び脚で近寄る。
男が見たその光景は………