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□どっちが誕生日か分からないね
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2人1つ傘の下。雨に濡れちゃうから、私がバクラと(正確には獏良君のだけど)私の鞄を抱えて、その代わりバクラは傘を持って帰路を進む。
半分ずつ使ってるから私も少なからず濡れる筈なのに、私の制服は揺れたスカート以外は綺麗に乾いたままで。私はバクラの右肩を見た。学ランの鮮やかな青が濃くなっている。

「バクラ濡れてる」
「あ?気にしねーよ」
「もっと自分の方にさして」
「…オレ様は既に濡れてんだ。これ以上乾かす場所増やしてどうすんだよ」

最もな意見にどうしようも出来なくて、
「今日はバクラの誕生日なのに…」
と呟いた。別に隠す気もなかったから、当然バクラの耳にも届いて、おいおい、と突っ込まれた。
「宿主のだろうが。オレ様のじゃねェ」

「じゃあバクラの誕生日は何時?」

むっとして尋ねると、難しそうな顔をして逸らされた。

「いいじゃない、同じで。ね、シュークリーム買って帰ろ?」
肘でつつくと、唇を尖らせてこっちを向いた。ちょっと可愛い、なんて思ってみる。
「…宿主なら学校で祝ってもらってるからいいんだよ」
「じゃなくてバクラの為に!」
私も獏良君の誕生日は学校で祝った。あげたシュークリームはもう全部食べちゃったみたいだけど。

「お前が居れば他には何もいらねーよ」

前をぼんやりと見ながらそれとなく言うもんだから、私が逆に顔赤くしちゃって。
何も返してこない私を見て、バクラはニヤリと笑った。馬鹿、と返しても、それは更にバクラを喜ばせるだけだったけれど。

なら今日はずっと一緒にいようね
(鬱陶しいって言われても離れてあげないから)

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