小説
□手塚治●先生が禁止したこと
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「なんや日吉、いたんか」
忍足が部室に忘れ物をして、戻ってくるとそこには日吉がいた。
「忍足さん…」
「跡部はどないしたん?」
「今日は用事があると…」
日吉は跡部と付き合っている。いつも一緒に帰っているので、めずらしいなぁと忍足は思った。
忍足はロッカーを開け、忘れ物をとり、扉に向かう。その様子を日吉は静かに見つめている。
「日吉もはよ帰りや」
「忍足さん…待って下さい」
帰るそぶりを見せない日吉に忍足が声をかけると、日吉はゆっくりと近付いてきた。
「ん?何や?」
日吉は妖笑を浮かべ、自分のネクタイをシュルッとほどく。そして忍足に抱き着いた。
「ひよし…?」
「俺を…抱いてくれませんか?」
日吉の言葉に忍足は驚いた。日吉は忍足のネクタイを口で解こうとしている。
「な、何言ってるん。自分には跡部がいるやん」
忍足はいつものポーカーフェイスを保ちながら日吉に問う。
「…跡部さんじゃ、俺は満足できないんです」
「なっ…」
「忍足さんは俺を満足させてくれますよね?」
日吉は妖笑を浮かべながら、下唇を舐め、忍足を誘う。
そんな日吉の姿に忍足は口角を上げた。
「当然や…」
「楽しみです…」
忍足は日吉に唇を落とす。
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