小説

□Be left behind.
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額に浮き出た汗が、頬をつたい、コートに落ちた。
腕が上がらない。まわりも暗くなってきた。
それでも俺は、汗で体にへばりつくウェアを気持ち悪く思いながら、コートに広がっているボールを拾い上げる。






「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・・」



拾い上げたボールを、高く上げ、サービスエリアに入るように、強く打つ。
ボールは、きちんとサービスエリアに入り、何度かバウンドした後、壁にぶつかり動きを止めた。

俺はそれを、気を抜くと倒れてしまいそうな体でしばらく見つめていた。






「はぁ・・・はぁ・・はぁ・・・・」



俺の荒い呼吸があたりに響く。







関東大会でも、全国大会でも、同じ学校に負けた・・・
しかも関東大会は俺のせいで・・・

これで次期部長だと・・・?
ハッ・・・笑わせる



「くそっ・・・!!」





己の無力さに腹が立ち、ラケットを握る手に力を込め振り上げると、さっきまで一緒に自主練習をしていた人の声が後ろから聞こえ、俺は行き場を失った右手をゆっくりと下ろし、振り返った。




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