いつも思う。
君は何回、何十回も言ってくれているのに。
俺は一度も言ったことがない。
言えないんだ。


「すきだよ」

ちゅっちゅと顔にキスの雨を降らせてくれる。
好き。俺もなんだ。
言いたいのに言いたいのに、それを音にできない。


「あずさ…泣かないで」

伝わらないことが悲しくて涙が出てしまった。
ぽろぽろとこぼれ落ちる涙を止めることが出来ない。


「オレのこと、キライ?」

ちがう。嫌いなはずがない。
これじゃあ田島に勘違いされてしまう。
不安にさせてしまう。
そんなのヤだよ。首を横に力強く振る。

思えば思うほど涙は溢れる一方で。


「大丈夫、大丈夫」

なだめるように背中を撫でてくれる。
お願いだからこんな俺を嫌いにならないで。
ずっとそばにいて。


「あずさの気持ち、わかってるから」

すごく田島が愛おしいのに。
言葉にしたい。伝えたい。


「オレのことを愛してくれてる。
ちゃんと伝わってるよ」


にっこり微笑みながら言ってくれた。
ああ、言葉にしなくても伝わってるんだ。
心で俺の気持ちを受け取ってくれてるんだ。

好きだよ、愛してるよ、
もっともっと伝えたい。
たくさん届いて。



「ゆう、いちろ…」

「うん?」

優しく聞いていてくれる。
呼吸を整えて、俯きながら小さく呟いた。

聞き取れたかな…伝わったかな…。


顔を上げると、
耳まで真っ赤にしている悠一郎がいた。






End





↓あとがき↓

梓が恥ずかしがり屋、てより言いたいことが上手く言えないって感じですね。田島様が…変!大人っぽいぞ!!← やっぱり子供っぽいガキな田島の方が自然な気が。
途中で田島から悠一郎に変えました。間違えたわけじゃないですよ!梓の心の変化みたいな…カンジです。あはっ←


ここまで読んでくださってありがとうございました。

20080921





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