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□オンリーロンリーグローリー
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攘夷戦争が終結して数年。

負け戦に辛酸を舐めさせられた江戸の街も、今ではすっかり平和なもんだ。
しかもそれが敵であった天人のお陰だっつーんだから、全く世の中は上手いこと出来ている。





別に隠していたわけではないが、俺もその戦いに身を投じていた一人。

これでも結構強かったりして?
白夜叉なんてカッケく呼ばれたりしたりしたんだよ。

…とは心中に留める台詞だが。


いくらカッコ良かろうとも、俺がこのことを胸張って話せるようになる日は未来永劫訪れることはないだろう。

敵を斬った分だけ仲間が斬られた。
空を流れる雲よりも多く、戦友を焼いた煙を見た。


もう二度とあんな思いはしたくない。

絶望っつーのはこーゆうことなのかと思ったほどだ。
全てを喪う代わりに得たものは、平和でも何でもねェ、空っぽの心ととんでもねェ喪失感だった。



あん時さァ、もう世界は終わったと思ったくらいなんだよね。
どーしていいのか分からないっつーの?
生きてても意味ねーと思ったんだよ。


戦争が終わって、仲間が死んで、
ヅラと高杉は別々の組織をぶち立てて、
辰馬は宇宙に旅立って。

なのに俺は空っぽだった。
空虚で空しくて、笑っても泣いても死んでるみてーだった。

ていうか、もう死んでんのかと思ってた。
いつかきっと体中の血が抜けて、一人淋しく死んで行くんだと思った。


――そりゃそんなん嫌だよ。
でも、そんなに綺麗に死ねるわけがない。
俺はそんだけ、命を奪って来たんだから。



だからさ、

アイツらと別れたら、もう死ぬかとか考えててさァ。


…ってちょっ、汚ッ!
ミカンの皮投げんな!!
これからいいとこなんだっつーの!


…んで?
どこまで話したっけか…
ああそう、アイツらと別れたらってとこね。

ってゆうかアイツらも死ぬと思ったんだよな。
次会う時はアッチの世界でしたー、みたいな。





でも、何やかんやでまだ生きてたよ。

ヅラも高すぎも辰馬のバカも。


やってるこたァロクなもんじゃねーかもしんねーが、皆生きてた。
地に足つけて、這い蹲ってでも命に縋ってんだよ、笑えんだろ?



…あ?
そーだよ俺もだよ。
銀さんだってちゃっかり生きてますよ。

日々デッドオアアライブを彷徨ったり何だったりするけども、こーしてまだ地上にいるんだよ。


不思議だよなー。
絶対死んだと思ってたもん、俺。

…何だよ、いーんだよ!
今はちゃんと生きてんだか…ってオイオイオイオイィィィ!!!!
ちょっ、お前何泣いてんのォォ!?

ここ泣くとこじゃねーべ…ってだァァァ俺の服で拭くな!
つまんない?今のギャグじゃねーから!!


ったくもーホントにこの子は…

新八ィィィ!か、神楽ァァァ!!
どっちでもいいからティッシュ持って来い!
ついでに何か糖分的なものもなー!!




(そんなモンありませんよ!アンタ通帳の中身を知ってんのか!)
(銀ちゃァん、ティッシュも切れてるアル、トイレットペーパーでもヨロシ?)


















戦争が終わったあの時、泣くの我慢して必死について来るお前がいなかったら、
きっと俺、今ここにいねーから。




(きっと、こんな温かさも知らなかったよ)




***

…うーん。
何とも捏造な銀さんでした。
きっと彼はヅラ達が死ぬなんて思わないよねー。

何て言うか、銀さんのどこか脆い部分を書きたかったんだけど、スイマセン撃沈です。

(080219)
song by:BUMP OF CHICKEN


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