銀緑叢中、君を愛ス。

□4時間目
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剣道部のしきたりとして、けじめはしっかりつけなければいけない。
相応の理由がない遅刻や早引き、休みはペナルティの対象だ。


それを知っていながらこいつ――沖田 総悟は堂々と遅刻してくれやがった。

しかも10分20分なんてモンじゃねェ。
練習も終わるかっていう時間帯にこっそり入って来て、しかもちゃっかり最後の挨拶だけして帰ろうとする。


春休み明けで確か実家に戻ってたんだろうが、見上げた根性だ。

つーかただのふてぶてしいガキか。
あ、今はタメっつー設定だったっけか。面倒くせェ。


兎に角コイツはどれだけ怒ろうが凄もうが反省する素振りすら見せねェ。

いっそかの有名な猿と取っ替えて欲しいモンだが、これでいて部内随一の実力を持ってやがるんだから嫌味なヤローだ。



ギロリと目一杯睨み付けるも、この男にはどこ吹く風。

汗一つかいていない肌を掻きながら、あっけらかんと言ってみせた。



「だから言ってんじゃねーですかィ土方さん。
電車で産気付いた妊婦さん助けてたら遅刻したって。
これは立派な理由でしょーが」

「んなベタな言い訳を誰が信じるかァァァァ!!!!
吐くならもう少しマトモな嘘にしろや!!」





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