ソノホカ

□雨が上がったその後に…
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 耳障りな雨の音が、殴りつけるように窓を叩く。

 夕方から降り出した雨は夜になっても止む気配はなく、肌に張り付くような湿気た暑さが、煙る暗闇から滲み出してくるようだ。

 この分だと、明日の仕事はできそうにもないな。

 風呂上がりで濡れたタオルを首に掛け、ちらりと窓の外を見たムサシは慣れた手つきで冷蔵庫を開けた。男の独り暮らしを代名するように、中には幾種類かの飲み物と帰りがけにコンビニで買ってきたパックの枝豆しか入っていない。

 いつも通り、ずらりと並んだビールの缶に手を伸ばしかけて、ムサシはふと逡巡した。

 一瞬空を掴みかけた手をすっと伸ばし、ミネラルウォーターのボトルと枝豆だけを取り出す。

 最近、ほとんどアルコールを口にしていない。夏前に、煙草もやめた。

「……」

 何をやっているのか、とは思う。けれど、思うより先に身体がそうしてしまう。

 水をあおりながらムサシは枝豆を口に放り込んだ。

「…硬い」
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