サンブン

□グレン
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「おめでとう、六番隊隊長さん」

 不可思議な韻を踏んだ言葉遣いと、耳に残る独特の声音。

 返事をすることも振り返ることも一切せず、白哉はさっと衣を翻して歩き出した。

「そんな、きっぱり無視せえへんでもええやないの」

 しつこく同じ声が背中を追いかけてくる。

 ねっとりと首筋に冷たく張り付いてくるような霊圧の感触が非常に不愉快だ。

「何用だ、ギン」

 執務室を出た瞬間に声を掛けられたということは、間違いなく白哉を待ち伏せていたのだろう。

 不快さを隠そうともせずに問うと、あからさまに眉をひそめて見せたギンが、悲壮な声を出す。

「わざわざお祝いを言いに来た同僚に、その言葉は酷過ぎるわ」

 確か、先ほどもそのようなことを言っていた。

 だが、白哉には祝いを受けるような事柄に覚えがない。

 無言で先を促すと、あれ、とギンが首を傾げた。

「そちらさんにも連絡ありましたやろ?新しい六番隊の副隊長さん、決まったらしいやないの」

 確かについ先日、その人事の連絡はあった。

 だが、それに対する祝いの言葉というのが理解できない。それも、三番隊の隊長がわざわざ。
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