サンブン
□サンドローズ
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さらさらと乾いた空気が肌に馴染む。
空虚に晒され続けた臓腑は、ぽつりと落ちた雫さえ無慈悲に吸い上げてしまう。
いっそ深淵の砂漠に身を埋めてしまえば、乾き切った心にも花は咲くだろうか。
調子外れの鼻歌を刻みながら、ふらりふらりと影が動く。
ふと何かに気付いたように歩みが止まって、薄い唇が笑みを模った。
「ええもんみっけ」
ひそりと嘯いたのが聞こえた筈もないが、廊下の向こうでもう一つの影がちらりとこちらを見た。しかし、待つこともなくそのまま歩き去ろうとする。
「ちょっと待ちぃな、グリムジョー」
わざとらしい猫なで声を出すと、心底嫌そうにグリムジョーが首だけ回して振り返いた。
「何か用……ですか」
嫌味のように付け足された敬語が語尾で虚ろに響く。
「別に普通でええよ。そない無理せんでも」
くすくすと面白そうに笑って、ギンは犬でも呼ぶようにこいこいと手招きしてみせた。
「なんや手持ち無沙汰でなぁ。ちょお俺と遊んでいかへん?」