ソノホカ

□トリガー
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 怜悧な刃物を連想させる白い肌。

 ひやりと冷たく心地良い体温。

 その全部を奪い尽くしてみたいと、思わずこの腕に閉じ込めた身体は――想像していたよりも随分と華奢で。

 身を任せることも拒絶することも無く、俺の浅はかな行動を鼻先で嘲笑して、奴は言った。

「欲しいのか?」

 ガチャリと重い音がして、心臓の上に冷たい銃口が押し当てられる。

「なら言ってみろ。正解が言えたらご褒美をやる」

 真直ぐに、心の深奥を打ち抜くような眼。

 逆らえるはずも、逆らう気も起きなかった。

「…愛してる」

 思わず唇からもれた言葉に、自分自身が一番はっとさせられる。


 …表情のない瞳が、かすかに嗤ったような気がした。

 無言で背に回された爪先が、細く鋭く皮膚を食い破り、己が所有の印を刻む―…。





 まさに、死闘と言うべき試合だった。

 無敗神の名を誇る、神龍寺ナーガとの対決。激闘の末、ようやく手にした勝利は素直に嬉しいものだ。だが同時にそれは、かつて味わったことのない重圧でもあった。

 おそらく、奴にとっても。

「…お前な。こういう日こそ、ちゃんと自分の家に帰るべきじゃないのか?」

「うるせぇ」
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