他キャラ小説

□Report of a gun
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『オーブ国家元首、カガリ・ユラ・アスハだな?』

その声に聞き覚えはない。振り返ろうとしたその瞬間、背中に何かが突きつけられた。



この感触は忘れもしない、幾度となくこの手にした鈍重で冷たい感触―――…銃か?


一瞬にして全身に緊張が走る。


『護衛も付けずにひとりノコノコと歩き回るとは、随分と平和ボケなさっているようだ。』



「私を国家元首と知ってのこの行動……オマエの要求はなんだ?」



『そう焦らなくとも、直ぐに分かる……このまま移動しようか?』



街の雑踏にかき消され、誰にも気付かれる事なく交わされるやり取り……。
確かに国内とは言え、護衛も付けずに単独行動をするのは迂闊だったと言える。
下手に騒げば私の命は元より、国民を巻き込む可能性もある…私は移動を余儀なくされた。




言われるがまま辿り着いたのは朝見た違う景色が広がる、きりたった、険しい断崖がのある
人気のない港の外れだった。付近に人影は見当たらない。

なんとか応戦するタイミングを伺えればいいのだが……。
とは思ったものの、相手はどんな人物なのかも分からない…白兵戦など素人同然の私が、
敵うかどうか……どうした方法が一番良いんだろう?

緊張するこの場面で上手く思考が働かない…クソッ……。


「もう良いだろ?オマエの目的はなんだ?
私も成さねばならぬ事が多い身……死ねと言われてそう簡単に死ぬ訳にはいかない。
とは言え、この状況ではどんな行動を執っても、私は死に行かなければならない…と言う訳か。」



この人物が何を考え、何をしようとしているのか……心理は?
相手の真意を追求して、糸口を見つけようとするだけが、今の私に出来る精一杯の行動だった。



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