話
□消えかけた法則
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源流は部屋に入り、フローリングに横たわるクイルスの手を握った。
いたい?
いたいよ。
死なないかい
死なないよ
ぎゅう、って手を握るとクイルスがきゅんと鳴いた。
ああ、手が痛いかい?
ううん、脚だよ、痛いのは
脚には大きな刃が切断するように並んで食い込んでいた。
すごく痛いらしい、
ここに運んでくるまで悶絶して、源流の胸に顔を埋め、首に爪を立ててしがみついていた。
今はどうにか心配させないようにと微笑んでいるが、あんな鋭い牙のやつに噛まれたそのままの状態なんだ、大丈夫な訳ない。
噛まれたときのあの悲鳴は源流の頭に刺さったまま、だから
ものすごく心配してて
どうにかしてあげたくて、
もう死にそうなくらい心配で…それは
『僕はあなたを好いているから』