話
□消えかけた法則
2ページ/6ページ
…………
収容所にいた頃、オルコ兄さんが外から動物を拾ってきたことがあった
出られない僕のためらしくって、とりあえずなんかうれしかった。
それは全身ふわふわの赤毛に包まれたもので。
ふわふわした小さいものってだけで、それがなんだったのかはわからなかった。ただ一緒にいて放さなかった。
ずっと一緒にいて
なんだか愛おしくて
ずっとそばにいてほしくなって
そのふわふわが大好きになったのね。
ふわふわも僕の後を追いかけてついてくるし
僕がいないときは寂しくて泣くのだ。
ふわふわもきっと僕のことが好きなんだなあ、ってそう思った。
そう思ったときから、
ふわふわは弱っていった
僕を追いかけることも
鳴くことも出来なくなって
ふわふわの赤毛が抜け落ちて
枯れて
ただの石になった。
オルコ兄さんはその動物は寿命で死んだと言った。僕は頷いた。
それから、拾ってきた動物に僕は愛情を注いだ。それはそれは早く死んだ。
みんな同じように死んでいっても、
オルコ兄さんは小さい動物は寿命が短いと言った。
僕は頭に浮かんだ死ぬ法則を消したくて、首を振った。
オルコ兄さんはもう動物は拾って来なかった。