□源流と中学生
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「…ごめんなさい、って?」

『うん。大雨、…太陽が。
……だから僕が送りに来たの』



あ、ああ。なるほど。

しかし、おかしな人。日本語もイントネーションも所々なんか変だし。ホントにおばけなのでは…?わたしはウム、と考える。


『…さあ、お入り。』

ばさ、と鮮やかな朱の傘を開きおばけは立ち上がった。
立つとスラリとした背の高い人だった。



『……番傘は嫌かい?』

わたしがもたもたと戸惑っていたら、おばけが首をくるりとしていた。

「そ、そんなことないっ、です!」

おばけは小さく笑み、わたしの背中に手を添えて傘に招き入れた。



カツ………カツ…カツ……カツ…

おばけはわたしの帰路を歩く。



「……ちょ、ちょっと…近くないですか?」
背中をぎゅうと支えられて、わたしはおばけに密着させられている。少し離れようとしてもびくともしない。

『…そうかい?』

わたしは頷いた。
『ウム…、しかし君が雨に濡れたり刺されたりしたらいけない…』

「エエッ……雨は刺さないですよー」
わたしはへらへらと苦笑いで答えたが、相手は違った。わたしを見下ろして不適な笑みで返した。
『……とりあえず、君に何かあったら、天照皇に会わせる顔がないんだよ』
すると背中の手が離れた。
離れたかと思えばすぐに手をぎゅっと握られた。


見上げるとおばけは目を合わし、いいかい?と尋ねた。
わたしは勢いよく頷く。ちょっとうれしいかったんだ。




ああ、なんだかこのおばけすごく落ち着くなぁ。さっきまで怖かったけど、こんな暗い夜道は誰でもいいから話し相手になってほしいもんなんだ。

しかも、よく見るとこのおばけさんすごく美人……。
髪の毛は腰まである綺麗な黒髪で、顔も上品で色白だった。

「……あのあの、…その、おばけさん?」

『…んー…おばけさん……?』

「アっ!!……え、えと、違っ、その、お姉さん、お名前何て言うんですかっ?」

『ふふ、お名前ね。…本名と愛称どっちがいい?』
「……ウーン。ほ、本名で!」


『…bomba all'idrogeno』

「は……、ぼ、ぼんばーあ…?」
『愛称は源流だよ』

「…げ、源流さん!」

『…ああ、……呼び捨てにしときなさい、』

「え?」

『僕より下の地位についてはいけないよ…』


「じゃあ……源流、ん…っ源流!」

『…なんだい?』
「…ありがとう、その…迎えに来てくれて!」
『…いいえ』
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