歌姫
□Invasion
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「…はっきりしない目的のために、この国を侵略するのですか!?」
ラクスが、鏡越しにアスランを睨み付けた。
「…全くだな。しかし、軍隊ってのはそんなものさ。下っ端の意志は関係ない。…腐ってるよ、帝国も…軍も」
そのうちに、寺院に着き、マルキオを降ろした。
「くれぐれも、反抗はしないでください。こちらも、余計な犠牲は出したくない」
アスランが言い、マルキオは頷いた。
クライン邸へ向かって走り出すと、ラクスが話しかけた。
「…何のために、この国へ来たのですか…?」
ラクスの表情は、さっきよりは穏やかだった。
「…さっき答えたはずだが?」
怪訝そうにラクスを見た。
「…あなたのことですわ、アレックス」
そう呼ばれ、昔の記憶が蘇った。
「…覚えてたのか?」
「ええ」
ラクスが即答した。
表情は厳しい。
「あなたは、忘れてました?」
「いや、覚えてたさ。けど…俺の本名は、アスラン・ザラだ。アレックス・ディノなんて人物は、存在しない」
「…ザラ?」
ラクスは驚きを隠せなかった。
ザラ。
その名はアスランが、皇帝、パトリック・ザラの息子であることを指していた…
To be continued