歌姫
□Memories
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想いを貴方に届けたい
その冷たさを抱き締めるから…
ラクスと出会った翌日。
同じ時間、同じ場所に、アスランは来ていた。
国境の壁に寄り掛かって座ると、かすかに鳥の声が聞こえる。
ラクスの言っていた鳥小屋の鳥だろう。
しばらくすると、ラクスの歌声と、小さな足音が聞こえてきた。
「鳥さんお元気ですか?わたしは元気ですわ♪」
アスランはラクスの声を聞き、楽しそうに鳥に餌をやるラクスの姿を想像した。
「…アレックス、今日も来るかしら?」
ラクスが小さく呟いた。
アスランは立ち上がり、壁の方を向く。
見えない相手に話しかけるのは、何だか勇気が要る。
「ラ…ラクス!」
「アレックス!よかった…また会えましたわね♪今日も練習ですか?」
昨日と同じ穴から壁の向こうを覗く。お互いの片目が見えた。
「今日は、お礼が言いたくて…。ヴァイオリンの先生に褒めてもらえたんだ、上手になったって。弾けるようになったのは、ラクスのおかげだから…。ありがとう、ラクス」
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