空模様

□銀色のあいつ
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今日の体育はドッジボール

1人差で、あたし達の勝ち

天気は快晴







「夏梨ー?戻らないの?」

翠子が呼ぶ。

「夏梨ちゃん?」

ユズも。


「あーっと…、ごめん!先行ってて!」

そう言うと、夏梨は校庭の隅っこに走っていく。



「夏梨…どうしたんだろ?」

「さあ。幽霊でも居たのかな?夏梨ちゃん、けっこう見えるから」





校庭の隅の銀杏の木の下に、少年が倒れていた。
夏梨は歩み寄る。

「みんな見えてなかったし、幽霊か…?おーい。大丈夫か?」

声をかけるが 返事はない。


少年は、黒い着物に白い羽織りという格好で、刀を持っていた。髪は銀色。


「変なやつ…。おーい?」

ヒラヒラと 目の前で手を振る。


「ぅ…」

少し反応があった。

「お?」

よく見ると、少し怪我をしているようだ。
そして顔が赤い。

夏梨は少年のおでこに手を当ててみた。


「あつっ。熱あんのか?」


放って置くわけにもいかない。


「…ったく、ちょっと待ってろ」


夏梨は校舎に向かって走った。




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