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□煙管
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煙管ーキセルー



吸って吐く
煙がゆれる
 ゆらゆら
 ゆらゆら
煙に乗せて想いも吐く
 ゆらゆら
 ゆらゆら
吸いながら思い出し、忘れるために吐く


男は言った
いつかここから出してやる、と。
信じてた訳じゃない。
でも どこかで期待してた
今日、聞いた。
男は金持ちの娘と結婚するそうだ



「姐さん、そろそろ…。」
吸って、吐く。
ゆらゆら 
ゆらゆら 
想い出を吸って、心を吐く
カタン 
音を立てて煙管を置く
立ち上がる
そして部屋を出た。



残ったものは太腿の誓いの印
そして部屋に漂う煙
 ゆらゆら
 ゆらゆら
今日も遊郭で蝶が舞う。



注))
キセル焼きというのが、元禄(1688〜1704)の頃、遊郭で誓いの印として使われたそうです。
キセルに詰めた煙草の火を当てて、皮膚を焼くことです。


The End…
後書き↓

ブログ再録です。
実は授業中に一発書きしたものですが、結構気に入ってました。
でも、後から読み返すと微妙な感じですね…。

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