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□卵【きっかけ】
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まどろむ意識の中に何か違和感を得て。
うっすらと目を開く。
目だけを動かして窓を見やれば、赤のカーテンがうっすらとその色を取り戻しつつあるのが見えた。
夜は明けているようだけどまだ暗い。
ベッド横のサイドテーブルにのそりと手を伸ばし、目覚まし時計を顔の上まで持ってくる。
午前5時…
目覚ましをかけた時間までまだあと2時間はある。
いつもなら二度寝を決め込むところだけど、何故か寝付けない。
だからと言ってはっきりと目覚めるわけでもなく、違和感の正体を探そうと少しずつ神経を叩き起こしていく。
すると…
ある一点で違和感が顕著になった。
太ももの付け根あたり。
なんだろう。
何かが「ある」。
手をうんと伸ばしてみたが、体を曲げなければそこには届かなくて。
でも体はまだ惰眠を貪っていて言うことをきかない。
少しだけ、足を閉じようと試みると、その違和感は実感となって、ネグリジェからはみ出た皮膚を直に刺激した。
なんだか硬い。
表面は少しざらついてるけど、滑らかさの方が勝ってる。
形は…丸っこい…かな?
それから…少し温かい。
形がわかればわかるほど、遠ざかっていく正体。
本当にこれ何…?
探究心が遂に眠気を淘汰し、半身を起こして布団を剥ぎ取る。
途端に浸入してくる朝の刺すような空気。
まるで息継ぎを求めるかのように貪欲なその流れは、露になった私の足に容赦なく絡みついてきた。
しかし
寒い…と思うよりも先に私の目に飛び込んできたそれは、半覚醒だった身体の全神経を一気に叩き起こし、感覚や感情なんて二の次にするほどの衝撃を与えた。
違和感の正体。
それは