恋華
□rain
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サァ… サァ…
「?…う…ん」
軽やかに耳に届いた音に脳が刺激され、緩やかに意識が浮上する。
瞼を開けると外は薄暗い
部屋で仮眠をとっていたコンラッドはゆっくりと体を起こした。
「……雨……」
聞こえていたのはこの雨音か
うっとうしげに前髪を掻き上げると、そのままぼんやりと外を眺める。
季節の変わり目で、ここ眞魔国でも2・3日前からこの自然現象に事欠かない
こんな天気の日は古傷がうずくが、慣れたので気にならない
ふとその時、馴染んだ気配が近付くのを感じて自然と顔が綻んだ。
コンコン
ノックの後、主のユーリがヒョッコリと顔を覗かせた。
「コンラッド、入っていい?」
この場合否というはずがなく、にっこり笑顔でコンラッドはユーリを部屋に招き入れた。