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□勇気をくださいT
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知人の息子はとても可愛らしい人だった。
byコンラート・ウェラー
「ユーリ、荷物はこれだけ?タンスは持ってこなかったの?」
「うん、ホントは通販の『イケイケ家具』に載ってたヤツ買ったんだけど組み立て式でさー…見るも無残な結果に…やっぱ完成したヤツこっちで買おうかと思って。
……なぁそれよりさ、コンラッ…じゃなかったコンラートさん。
ホントに俺ここに住んでいいの?」
親切な同居人に手伝ってもらってダンボールの中から生活用品やら勉強道具やらを取り出して片付けながら有利は尋ねた(二人でやったほうが早く片付くよと申し出てくれたのだ、イイ人だ!)。
いくら親の知り合いだからといって、こんな豪華な所に同居させてもらっていいのだろうか…
「俺のことは好きに呼んでいいよ?
一人暮らしって楽だけど…ほら食事とか一人で食べるより誰かと一緒の方が楽しいだろ?
……それに……」
「それに?」
男前な同居人は悪戯っぽく笑っていった。
「君みたいな可愛い人なら大歓迎だ」
「か?!!!?」
有利はそれはもう、完熟トマトのように真っ赤になってしまった。
…まて、そこでどうして赤くなる俺、間違ってないか渋谷有利!
物事は最初が肝心だ!!
「た、タラシてんのか手伝ってるのかどっちだよっ!」
手伝ってると思うけどなぁ、こうして服もたたんでるし…
とコンラッドは思ったが口には出さないことにした。
せっかく一緒に住むことになった可愛い同居人これ以上怒らせないほうがよさそうだ。
それから二人して軽口を叩きながらこの辺りのオススメのレストランの話やら生活する上で必要なルールの話とかをした。
コンラッド(と呼ぶことにした)は料理もうまかった!
引越し蕎麦とコンラッドが作ってくれた熱々の天ぷらを食べて有利は大満足だ。
「あ、そういえばさコンラッド、親父に聞いても教えてくれなかったんだけどさ」
「なに?」
「あんたの仕事ってなに?もしかしてモデルとか?」
当たった?当たった?とばかりに興味津々で聞いてきた有利をマジマジと見ていたコンラッドはお腹を抱えて爆笑した。