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□勇気をくださいT
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「ごめ……でも親子して同じこというなんてね……」
ようやく笑いが収まったのか、それでも目尻に涙をためつつコンラッドは言った。
「え?同じことって?」
「うん、最初に会ったとき言われたんだ『こいつがオーナー?モデルの間違いじゃないのか?』ってね
残念ながら俺はモデルじゃないよ」
おーやーじー!!!!!!
有利は床に座ってのの字を書きたくなった。
もしかしてワザとか?ワザと言わなかったのかーっ!
「ちなみに俺の仕事はアレの仕事のオーナーだ」
言って彼が指差したのは、テーブルの上に置いてあったコンラッドが食後に飲むためワインセラー(というか冷蔵庫?)から取り出したばかりのよく冷えたワイン。
「って……ワインメーカーのオーナー!?」
「そう、いつもウチのワインを降ろしている所で今度日本で新しい支店をだそうって話があってね、実は別の人がこっちに来る予定だったんだけど事情があって来れなくなったんだ。
それで俺が代わりに日本に来る事になったんだ。
その時の銀行側の担当がショーマ、でその縁で知り合ったわけだ」
「親父が担当かぁ」
きっとこの人も自分や勝利のように野球関連のところに連れていかれたに違いないんだろうな。
事情とやらが気になるが、仕事のことをあれこれ詮索するのは良くないと思って有利はそれ以上はあえて聞かなかった。
「今一般家庭の日本料理に合うワインを研究中なんだ。
よかったら味見してみる?」
ワイングラスを渡されそうになって、有利は慌てた。
「だめだよ、俺未成年だし!禁酒禁煙だから!!!」
首を振り慌てる有利を見てコンラッドはああそうか、日本では20歳未満は酒はだめなんだっけといった。
「あぁ残念だ、飲ませて酔い潰して……」
「よ、酔い潰して!?」
コンラッドは遠い目をしていった
「優しく看病してあげようと思ったのに……」
「ほ…本気で残念そうにいうなああああああ!!!!!」
拳を握り締めつつ有利は言った。
『拝啓父上サマ母上サマ
俺の同居人はとっても困ったお兄さんです!
身の危険を感じるのは気のせいでしょうか!?
有利より』