恋華
□鼓動
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珍しく執務が早く終わってユーリは名付け親との穏やかなひとときを過ごしていた。
ユーリは自室から持ち込んだ本を読み、コンラッドは剣の手入れ。
軍人として名高い彼は剣の手入れだけでなく愛馬の世話や身の回りの事もソツなくこなす。
ふと視線を感じたコンラッドは主を見ると、ユーリは彼の剣の手入れを…いや剣を持つ手を見ていた。
「ユーリ?」
何か気になる事でも?とコンラッドが聞くとユーリは首を横に振った。
読みかけの本を床に置くと、ユーリはコンラッドの手を見つめつつポツリと言った。
「カッコイイよな、あんたの手」
「手…ですか?」
コンラッドは自分の手を見た。
「そう!戦場を駆け抜けた男の手って感じ」
なんだか照れくさいな、コンラッドは笑った。
「俺の手よりユーリの手のほうがカッコイイと思うけど?」