恋華

□願い事
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いつものように血盟城の噴水にスタツアしたユーリは目の端に大きなタオルを持って駆け寄ってくる名付け親を見つけ、顔を綻ばせた。

きっといつものように彼が

『お帰りなさい、陛下』

と呼び自分が

『陛下ゆうな、名付け親』

とお馴染みのやり取りをするのだろう…と思われた。

が、目の前で立ち止まったコンラッドの様子がどうもおかしい、固まっているというか、戸惑っているというか、どう声を掛けていいものか迷っているという感じだ。

「コンラッド?どしたの?」

尋ねたユーリにコンラッドはようやく口を開いた。

「あの…陛下…それではお尋ねしますが…」

「陛下ゆーな名付け親、で?」

「その服装はいったい?」

服装……?


「………あ」


ユーリは自分の姿を見下ろし、そして固まった。


スタツアの所為か帯は解け、合わせ目は見事に肌蹴け、いなせに着こなしていたハズがとんでもない状態になっていた。

そう、ユーリは浴衣を着ていた状態でスタツアしてしまったのだ。


し……しまったあああああ!!!!!

魔王陛下は絶叫した。
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