恋華

□コ猫と悪夢の三日間
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「へぇ?これがコンラッドのオススメのヤツ?」

夏の午後、魔王の執務室にあるテーブルにはあるものが置かれていた。


「えぇ、とても美味しいんですよ」

視察に行っていたコンラッドが「お土産です」と爽やかスマイル付きで最高級の牛肉を持って帰ってきたのだ!

ユーリは目を輝かせた。


書類仕事でぐったりなユーリにはまたとない朗報だ!


なんといってもユーリは健康な男子高校生、花より団子派だ。


「ユーリに食べてもらおうと思ってね
早速厨房係に渡してきますよ」


「牛肉かぁ…俺はシャブシャブがいいな
うーん、焼肉も捨てがたい…」

「牛シャブですか、それもいいですね
あ、ジンギスカンなんてどうです?」


旅装を解いたコンラッドは、水差しからグラスに水を注ぎつつ笑みを深めて言った。


これほど喜んでくれれば手に入れた甲斐があるというものだ。


「ジンギスカン!
俺食べた事ないよ、でもアレは牛よりラム肉のほうじゃねぇの?」

「牛肉も合いますよ?」


そう言ってコンラッドがグラスに口をつけ水を飲むのと、バタンと音がして扉から執務室内にグウェンダルが飛び込んできたのが同時だった。



「ハァハァ…ん?
な……そ…それを飲むな!!コンラート…!」

息も絶え絶えだったグウェンダル血相を変えていった。

「どうした?グウェンこれがな…に…か?」


ボウン!!


いきなり音がして、ユーリの正面に座っていた筈のコンラッドの姿が消えた。


後には彼の着ていた軍服があるのみ。

「え…コ…コンラッド!?」
「コンラート!!」


ユーリはテーブルを蹴飛ばさんとする勢いでコンラッドに駆け寄る。


「お…遅かったか…!」

グウェンダルはその場にガクリと膝をついた。



…何故か軍服の中程に不自然な膨らみがある。


「コ…コンラッドってうわっっ!!!???」


軍服の中からバッと何かが飛び出した。

丁度懐に飛び込んできたソレはユーリにキャッチされた。

「めぇ!!めぇ〜〜!!」
「めぇ〜って…え?…えぇっ!?猫ぉ!?」

自分にしがみつき、鳴くソレを見てユーリは驚いた!
ソレはまさしく猫だった。

地球で言うシャム猫だろうか、スラリとした体型に光沢のある綺麗な茶色の被毛、そして特徴的な銀を散らした虹彩の瞳…


うっそ………これってまさか…もしかして?


「コンラッド!?」

「めぇ〜〜!!めぇ〜〜〜!!」

そうです!と言わんばかりに鳴いている


「な…なんということだ…」

「グウェンダル!!逃がしませんよ!!
…ってあら陛下ご機嫌麗しゅう」


「アニシナさん!?」







「驚きましたね。つまり私の発明した『ネコビタメムンGO!』を飲んで猫になってしまったのですか」



事情を聞いたアニシナは言った。

…優雅にお茶を飲みながら

因みにコンラッドはユーリの膝の上で(猫のまま)茫然自失状態、尻尾も丸め小さくなっている

グウェンは「ギ、ギュンターとヴォルフラムを呼んでくる!!」と叫んで出ていってしまった…
(逃げたんじゃないだろうな!?)

…なんですか?そのネコなんとかって?

つまり猫ちゃん専用のビタミン剤か何かですか?

いや、それはいいんだ…いやよくはないけど、問題はそこじゃない!


何でソレが俺の執務室の水差しに入ってて、コンラッドがこんなになっちゃってるんだよお!!!




てゆーか、つまりアニシナさん貴女の仕業ですかこれ!!
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