NARUTOの話

□白
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苦しかった
悲しかった

涙を流し、呆けたように、それでも母を殺した父を見て、
僕は、苦しくて、悲しくて。
でも、その時僕は死にたくなかった。

気が付くと、巨大な氷柱が父を、僕を囲んでいた村人を、僕達の家を、貫いていた。
僕が意識を向けると、一本の氷柱が解けて消え、父の身体を解放した。

父は死んでいた。
母のすぐ傍らに。
僕は力の入らない足で外に出た。
そして、倒れて泣いた。

僕は何も知らなかった。
自分の能力も、
母の能力も。
血族に待ち受けている死も。
何もわからなかった。

何もわからなかったから泣いていた。
泣くことしかできなかった。
泣き続けてこう思った。思わざるをえなかった。

自分が
まるで
この世に
必要とされない
存在のようだ
と。

苦しかった。悲しかった。
そしてそれが一番辛いことだと知った。

僕の存在意義は…?



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