NARUTOの話
□ナルトの師!!
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「カカシよ」
「はい、自来也様」
五代目火影・綱手の命を受け、隊長がカカシでないカカシ班が墓荒し事件の調査にあたっている間に、情報収集をすることになった二人は、準備のため一度カカシの家に来ていた。
床に座って忍具類を口寄せ巻物に入れているカカシに、手裏剣模様のベッドに座った自来也は尋ねた。
「お前その格好で行く気か」
カカシは手を止めて自分の服装を見下ろし、横に置いたベストと額当てを見た。
「そのつもりですが何か問題ありますか」
作業を再開し、カカシは尋ねた。
自来也は大仰に頷いて言った。
「目立つ」
「本音は?」
間髪容れず投げられた疑問に、自来也は頭を掻きつつ答えた。
「旅の供が三十路のオッサンっつーのはイヤだっての。ワシ好みの女のコになれ」
「気色悪いこと言わんでください。外見はともかく中身はオレですよ。それと、オレはまだ二十台です。(自分なんて還暦近いジジイのくせに。)」
少々不機嫌さを滲ませたカカシを、自来也は説得にかかる。
「大男二人での旅が目立つってのは本当のことだ。しかもお前が木ノ葉隠れの忍者の証みたいな格好でうろついておったら尚更だっての。わかるだろ?」
「それはそうですが……」
「警戒せねばならんのは暁や大蛇丸だけではないんだぞ」
のぉ、と念押しまでされて、カカシはため息をついた。
「オレがチャクラ量少ないのご存知でしょう……仮にオレが変化してて戦闘中にぶっ倒れたらどうなさるんですか」
自来也はふんと鼻を鳴らして答えた。
「安心せい。ワシが守ってやる」
先ほどより大きなため息をついてカカシは言った。
「オレより自来也様のほうが目立ちますよ。あなたが変化すればいいじゃないですか」
自来也は、イヤそうな顔をした。
「だいたいオレが女のコに変化して一緒に歩いてたら……(犯罪じゃないのか)」
「歩いてたら……なんだ」
「いえ、別に」
なかなか首を縦に振らないカカシに、業を煮やした自来也は生意気な孫弟子の弱点を突くことにした。
下準備として、明後日の方向を向く。
カカシは巻物をベストに収納し、持ち上げて身につけた。
更に額当てを手に取った瞬間――
「イチャイチャシリーズの未発表短編があるんだかなぁ……」
ピタリとカカシの動きが止まった。
脈ありと内心ほくそ笑んだ自来也は、ボソボソと残念そうに呟き続ける。
「お前がすこーし我慢してワシを喜ばせてくれりゃあ、道中こっそり見せてやろうとか思っとったんだかのぅ……」
あぁ残念だのうと言いつつチラリと流し目をくれてやれば、
「わかりました……」
と、カカシは印を組んだ。
声色とは裏腹に、その目元はかなり嬉しそうだった。
自来也はニヤリと笑って、誰にともなくピースをきめた。
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