NARUTOの話

□狂い続ける現実と正しいはずの幻想にオレは恐らく負けてしまった
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オレもお前と同じように、あの日々が続いていて欲しかったよ。
一族の、父上の謀みも、里との確執も、全てが夢であればと思っていたよ。

大切な友や仲間に囲まれて成長し、いつか自然とオレを越えていくだろうお前を見ていたかった。
お前の越えるべき壁として在り続けたかった。
本当にお前のことが大好きだったから。

何度、あの頃を夢に描いただろう。
何度、霞む目に理想を映しただろう。
何度、お前とわかりあえた未来を求めただろう。

決して現実にはならない風景はオレに心を呼び起こす。
お前を守るために。いや、お前にただ生きていてほしくて。
それ以外の思いは封じたはずなのに。

胸を灼く痛みは病魔か未練か。
お前ともっと一緒にいたかったよ。

さあ早く。
オレのもとへ来い。
お前を縛る枷は全てオレが取ってやる。
オレはお前の兄なのだから。

さあ早く。
これが里からの最後の任務だ。
オレを殺しにこい。
オレを解放してくれ。
お前にしか――うちはサスケにしかできないことなのだから。


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