NARUTOの話

□綺麗な花には毒がある
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「カカシせーんせ。」

自宅に向かう途中の道で、弾む声音に呼び止められた。
振り返れば、今日は修業が無いのか私服姿の、我等が第七班紅一点。

「サクラ。」

その名が示す通りの髪が、秋風にさらさらと揺れる。
花が綻ぶような笑顔で、サクラは久しぶりと言った。





なんとなく同じ方向に歩きながら、近況を報告したり修業の具合を聞いたりしていたらあっという間にオレの家の前だった。
何もないけど(任務明けだ)上がってくかと聞くと、サクラは首を振った。

「ねえ、カカシ先生、今日誕生日なんでしょ?」
「ん?ああ、そういえば。」

言われて気付けばまた一つ歳を取っていた。

「ひょっとして祝いに来てくれてたりする?」
「そーよ。はい、お誕生日おめでとうございます。」
「……ありがとね。」

ちょっと、感動した。
可愛らしい包装の小袋は、ちょこんと手の平に収まった。

お返しにまた何かおごってねと手を振り去っていくサクラを見送って、いそいそとオレは小袋を開ける。

―ーカカシ先生おつかれさま。綱手師匠からキツイ任務ばかり任されてるって噂を聞きました。頑張って疲労回復に効果のある薬を調合したので、これ飲んでしっかり休んでください。お誕生日おめでとうございます。

柔らかな花の薫りのメッセージカードに几帳面に整った字。
それだけでも十分なのに、無色透明な液体の入った小さな薬瓶まで。

「……。」

臭いもない。見た目はただの水のようだ。

もう一度カードを見る。
きっと、サクラの事だから持てる技術を全て注いで作ってくれたんだろう。

「バカかオレは。可愛い愛弟子が一生懸命作ってくれたんじゃないか。オレのために。」

と口に出して言いつつ、‘疲労回復薬’を一息に開ける。
爽やかなのど越しと僅かな苦味に、「大丈夫大丈夫。サクラはそんなことしない」と心に念じた5分後。
オレはフローリングの床で爆睡する羽目になった。

意識を失う寸前、「案外簡単だったな。カカシ、お前暫く任務しなくていいぞ。可愛い愛弟子の修業に付き合ってやれ。」「ごめんなさいカカシ先生。でも私、強くなりたいんです。」とかなんとか聞こえた気がした。

……このしょっぱいのは、さっき連発した欠伸のせいに違いない。


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