NARUTOの話

□ナンバー69:恐怖の訪問者!!
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「封印の法術まで扱えるようになったなんて。成長したわね、カカシ。」

暗闇の深淵から獲物を狙う、蛇のような黄の目。
血の通わない死者を思わせる白い白い肌。
その素肌とは真逆の、全てを飲み込む黒を宿した長い髪。
何よりこの、不快な瘴気すら伴った毒々しい圧迫感。

間違いない。

「大蛇丸……」

柱に寄りかかってこっちを見ていた奴の瞳孔がすっと細まり、裂けたような口が不吉な弧を描いた。

「昔はあんなに可愛いかったのに。」

「……は?」

表情とは裏腹に吐き捨てられたその台詞を理解するのは困難だった。

「私の後をちょこちょこついてきて『にんじゅつをおしえてください』ってうるうるしながら言ってたのは誰だったかしらね。」

「〜〜〜〜ッ!!」

かっと一瞬で耳まで赤くなったのがわかった。
しかしそれ以上に驚いたのは大蛇丸の行動だ。まさか○ラスの仮面並の演技力を見せるとは。
でもやはり気味が悪い。鳥肌が立った。

「ホントにあの頃は可愛かったわよねぇ。『おろちまるさま、しゅりけんじゅつをみてください』って私の足元に駆けてきたり、寝惚けて私の膝を枕にしたり、『もうおかえりですか』ってしょぼくれてたのはもう――」

「い、いい加減にしろ!!お前の目的はなんだ!?」

「別にカカシくんに用はないわよ。でもたまには思い出話くらいしたっていいでしょ。めったに会えないんだし。」

「オレには話すことなんてない!!目的はサスケだろう、話をそらすな!!」

「話をそらしたのはきみの方でしょう……じゃあ草薙の剣が蛇に変化したときにびっくりしておもらししちゃったこととか」

「雷切ィィィっ!!」

大蛇丸のセリフを怒声で遮ったあと、間髪入れずに言葉を続ける。

「今のオレならアンタと刺し違えることくらい――」

しかし大蛇丸は動じずに、平然と口を開いた。

「話の続きが聞きたかったら、私の里までいらっしゃい。サスケくん。」

……バレていたか。

大蛇丸のセリフにカカシは激しく動揺し、青白い光は一瞬で消えてしまった。
同時に大蛇丸の気配も消えたが、しかし沸き上がってくるカカシの殺気。

まずい。非常にまずい。

「……サスケ」

荒々しく近づいてくるカカシの足音。冷や汗が出る。

オレは何も見てないし聞いてない。寝てるんだからこっちに来るな。

しかしオレの願いも虚しくカカシはオレを乱暴に持ち上げた。足首を掴んでだ。この扱いは酷いだろう。

「サスケ。今のことは絶対、誰にも言うなよ。」

そっと目を開けると、いつもの殆ど布に覆われた不振者みたいなカカシの顔が上下逆になって見えた。当然だ。しかし……。
目元が赤い。

オレは持ち上がりそうな口の端を必死に押し止めて言った。

「何の話だ。オレは今の今まで寝てたんだ。誓って何も見てないし聞いてない。何かあったのか。」

「……知らないなら、いい。」

白々しいオレの黙秘に、カカシはふいっと顔を背けてオレを担ぎ上げた。

「だが寝てる間に大きなチャクラが動いた気がした。アンタの術だろ?」

歩き出したカカシの上でオレは欠伸をして言った。大蛇丸のせいで遠ざかった眠気が戻ってきたらしい。

「……教えてやる。」

舌打ちしつつ応じたカカシに満足して、オレはもう一度目を閉じた。

意外とかわいいとこあるんだな。アンタ。


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