龍が如くの話

□アンバサダー
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叔父貴に撃たれた


真島がそう理解したのは不快な震動に目覚めた後のこと。土手っ腹に開いた風穴と、そこから溢れ出る濁った赤い血と、意識を無くす瞬間隻眼に映した鈍く黒く光る拳銃。それらは死を招き寄せるのに十分な条件だったはずだが、かの元ヒットマンの気紛れか、死神が同族嫌悪をきざしたのか、真島は結局生きて血だまりに体を起こしている。

望洋とした隻眼がふと足元を見ると、ようやく捕らえたはずの桐生の姿が無い。まだ彼の顔面に刃を突き立てる直前の昂りを覚えている。狂うほど欲して手に入れかけた命は10年前と同じように真島の手をすり抜けてしまったのだ。

真島は力の抜けた体を引きずるように立ち上がり、壁に手をつきよろけながら荒廃した部屋を出る。

「相変わらず常識はずれなヤツだな。動いて大丈夫なのか?」

「……。」

かけられた声に応えることもせず、ただずるずると壁伝いに歩く真島を伊達は見送る。
その姿が消えたあと、バケモンだな、と物言わぬ真島組員達に伊達は呟いた。





全滅してた真島組の皆さん……伊達さんが救急車呼んでくれて助かるよね……ね……。。。
 

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