QUIZ MAGIC ACDEMYの話

□未来の一例
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頭上に見える、建物に切り取られた空だけはきれいな薄汚い路地裏を、乱れた息遣いが駆けていく。
息遣いの主は赤い髪をもつ青年で、動きやすい軽装に、黒のローブを掴んでいた。

追われる彼の足が濁った水溜まりに構わず踏み込み、ズボンに汚水が散った。
その瞬間、彼は手の中のローブを放り投げ、それを媒体に狭い路地を塞ぐように炎の壁を背後に喚び出した。
激しく燃え上がる炎の壁を見つめて彼は呟く。

「高かったのにな……あのローブ」

豊かではない自分の懐具合を思いながら、彼は炎に背を向けた。そして驚く。

「相変わらずお前は詰めが甘いな、レオン。僕はお前に足で勝てるとは最初から思っていない」

「頭なら勝てるってか?セリオス。先回りなんぞしやがって」

かつての級友を前に驚きを苦笑に変えてレオンは言った。

ここは下町だ。路地裏は迷路のように入り組んでいる。長くこの辺りを拠点としていたレオンでさえ、完全には把握していない。
なのに先回りされたとなると……。

「もうこの町にはいられねえな〜」

「そうだな、暫くは政府の独房入りだ……この僕が追い詰めたんだからな」
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