NARUTOの話

□とあるBARでの事
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二人とも口数が多いわけではないので、お互いの近況を報告した後はほとんど会話をしなくなった。しかし、その沈黙は決して居心地の悪いものではなかった。
そのまま十分ほど、言葉が無いまま酒を呑んだが、彼は沈黙に飽きたのか、私に話しかけてきた。

「サクモ、アナタまだアカシに告白してないのね」

私は口に含んだ酒を吹き出しかけ、慌てて呑み込みむせた。そんな私の背を彼は軽く叩きながら、バカね…と呟いた。
呼吸を落ち着けた私は彼に詰め寄った。

「なぜ知っている!?」
「なぜって…カン」

私はカウンターに突っ伏した。

「さっきのお返しのつもりだったんだけど。効きすぎたわね」
「大蛇丸…」

恨みを込めて空のグラス越しに小さな笑みを睨みつける。

「アナタ、忍としての自覚ある?分かりやすすぎる反応は控えなさい」
「…余計なお世話だ…」
「心配してあげてるのよ」

ああ、彼も私もかなり酔っているようだ。

「…アカシは…自来也が好きなんだ…私とはタイプが違いすぎる…」
「ハァ…アナタ、十年間同じ言い訳してるの?」
「…どうせ私は変わらん…」
「変わったわ。心が老けたわよ」
「…そうか…」
落ち込んだ私に突き刺さる言葉の数々。
私の凹み具合が予想以上だったのだろうか、彼は慌てたようだ。

「そこまで凹まなくてもいいじゃない。…アカシは自来也のタイプじゃないわよ」
「わかっている。…でもアカシは諦めない…」
「アナタ、恋愛感情と悪友の心理の区別もつかないの?…呆れたことだわ」

未だカウンターに突っ伏したままの私は人差し指で“の”の字を書きながらボソボソと呟いてみる。

「なんとでも言ってくれ…。どうせ私は独り寂しく任務で死んでいくんだ…」
「それ、冗談よね」
「ああ、冗談だ」

彼は先程よりも更に大きな溜め息をついた。

「アナタの冗談は唐突でしかもわかりにくいのよ」
「よく言われる。この前同じ台詞を綱手に言ったら十メートル吹っ飛ぶデコピンをくらった」
「お前はバカかー!?…とか怒鳴って?」
「ああ。自来也は三分考え込んでから…悩みがあるなら相談に乗るでのお…と」
「アイツらしいわね…サクヤは?」
「さすがに冗談と受け取ってくれた。…言葉は慎重に選んだ方がいい…と忠告されたがな」
「私もサクヤに賛成するわ。アナタ結構抜けてるから」

そこまで言って、彼は私を疑いの眼差しで見つめた。
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