NARUTOの話
□とあるBARでの事
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「ねえ、…アナタまさか」
彼が次に口にするだろう人名を思って、私はグラスを持ち上げた。
その反応を見て彼の疑いが確信に変わる。
「アカシに言ったの?」
グラスの中で揺蕩う半透明の液体を見つめて、私はあの時を思い出した。
「…言った」
信じたくない、と言いたそうな大蛇丸。だって気になるじゃないか。
「よくあんなこと言えたわね…で、なんて?」
「……」
「サクモ?」
「言わなきゃダメか?」
「別にダメとは言わないけど…聴きたいわね」
「…………うじうじした男は嫌い」
「アカシらしい…。アナタなら予想してたでしょうに。自虐的行動は控えなさいよ。マゾかと思うから」
「大蛇丸」
「何?」
「どうしたらアカシと添い遂げられる?」
「唐突ね」
「言っただろう。お前も私も酔ってるんだ」
「いつそんなこと言ったのよ」
言ってなかったか?思ってただけか。でもどうでもいい。今夜の私は酔ってるんだ。
「いつだっていいだろう。それよりもアレだ。うじ男から脱出するためにはどうすればいい?自分勝手になればいいのか?」
「うじ男?サクモ、呑みすぎよ。もう止めたら?」
「私は酔ってる。お前も酔ってる。プラスマイナスゼロ」
「わけわかんないわよ…いっそのこと、今からアカシの家に行く?」
「………」
「サクモ?」
「返事がない。ただの屍のようだ」
大蛇丸の気配が動いた。帰る?帰るのか?
「後のことは私に任せなさい。アナタはこのまま眠っておけばいいわ」
彼はずっとカウンターに突っ伏していた私の頭を掴み上げた。
「おろちぃ、痛い」
「誰がおろちぃよ」
かなり怪しい視界の中心で紙のように白い彼の手が舞うように印を組む。
「相変わらずきれいな印を組むな」
「お褒め頂き光栄だわ」
この印は催眠系の術だったかな…。
彼が最後の印を組んだ瞬間、私の意識は夜に落ちた。