NARUTOの話

□奈良シカマル(28)
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「そんじゃまぁ、自己紹介してもらおうか」

昨日第十班付き上忍師に昇格した奈良シカマルは、担当する三人にそう第一声をかけた。
ところは甘味処“甘栗甘”。長椅子に子供達三人が並んで座り、向かい合うようなかたちでシカマルは一人用の椅子に座っている。
そして、シカマルのみが団子を手にしていた。

「先生が先にしろよ。つーか団子」
「アタシも同感。てゆーか団子」
「…団子」

三人の視線はシカマルが持った団子に突き刺さっていた。
ちらっと団子に視線を落としてシカマルは言った。

「一番面白い自己紹介したヤツにやるよ」

その言葉に最も目を輝かしたのは真ん中の女の子。
「ハイハーイ。アタシ猿飛アスカ。好きなものは、お母さんとアズマ。嫌いなものは、優柔不断な人。将来の夢はお母さんみたいな華麗な幻術使いになって、八代目火影様の奥さんになることでーす。趣味は…髪いじりかな」
「八代目ねえ…誰だと思うんだ?」
「分かんないけど、絶対美形だわ」
「女だったらどうするんだよ」
「うっ…考えてなかった」

頭を抱えるアスカの左横で、暇らしい少年が欠伸をした。逆に右横の少年は彼女に温かい視線を向ける。

「んじゃ次…今欠伸したやつ」

その少年は目の端に涙を浮かべながら口を開いた。

「河野ギンガ」
「…」
「…」
「…」
「…」

沈黙が降りる。

「あー…んじゃ最後。でかいの」

シカマルはさっさと場を切り換えた。
三人目が視線をシカマルに向けた。

「猿飛アズマ。好きなものは火影岩と将棋と母と妹。嫌いなものは無愛想なやつ。将来の夢は家族と平和に暮らすこと。趣味は将棋。あと先生に一言。団子はアスカにやってくれ」

コイツは妹思い。行きすぎてシスコンにならなきゃいいけど。

アズマの言葉に反応してアスカが騒ぎだした。

「先生、団子、だんごー!!」
「わーった。わかったから騒ぐな。団子、アスカにやるけどいいか?」
「頼んます」
「…」

団子はアスカの手に渡った。

「先生、自己紹介してくださいよ」

団子を食べながらアスカは言った。窘めるアズマ。曰く、食べながら喋るな。

「俺か…奈良シカマルだ。好きなものは将棋だ。以上。明日の演習について説明するぞー」
「話唐突ー。先生逃げた?」
「食いながら喋るなって」
「…」

甘味処“甘栗甘”は今日も賑やかだ。
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